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こう変わる!大学入試 〜2020年度からセンター試験に代わる試験を実施〜

現在の大学入試の象徴でもある「センター試験がなくなる」という話を聞いたことがある人も多いでしょう。「センター試験」は2020年1月の実施を最後に廃止され、2021年1月から「大学入学共通テスト」が導入されます。実は、新しいテストの実施だけでなく、大学入試全体、さらには高校教育、大学教育を含めた一体的な改革が進みつつあります。こうした改革の概要や議論の背景について確認していきましょう。

議論の経緯と改革の全体像

これまでの議論の経緯

文部科学大臣の諮問機関である中央教育審議会(以降、中教審)では、2012年から大学入学者選抜の改善をはじめとした高校教育と大学教育の円滑な接続について議論を行ってきました。中教審は2014年12月にこれらを取りまとめた“答申”を文部科学大臣に提出しています。また、政府内に設置された教育再生実行会議は、2013年の第四次提言で大学入学者選抜の改革について提言しました。これらの議論の過程や提言のなかで「新しいテストの創設」について触れられたことから、新聞等で「センター試験の廃止」が大きく報道されました。

そして2015年1月に、中教審の答申を受けて文部科学省から発表されたのが「高大接続改革実行プラン」です。現在進められている改革は、このプランがもとになっています。2017年5月には、検討内容をまとめた 「高大接続改革の進捗状況について」、同7月には 新しいテストの実施方針が発表されました。これらの内容は文部科学省のホームページで確認することができます。

高大接続改革の全体像

新聞等では、関心の高い大学入試の改革が大きく取り上げられていますが、今回、国が進めている改革は、高校教育、大学教育、そしてそれをつなぐ大学入学者選抜(=大学入試)の一体的な改革です。それぞれについて様々な施策が示されていますが、ここではポイントとなる項目を挙げておきましょう。

高校教育改革では、学習指導要領の抜本的見直しと学習・指導方法の改善(いわゆるアクティブ・ラーニング(*)の視点からの充実を図る)、そして生徒の基礎学力の把握と学習・指導方法の改善を目的としたテストの導入が掲げられています。見直し後の学習指導要領は、今の小学校6年生(2018年4月時点)が高校生になった時から適用されます。次期学習指導要領は「何を教えるか」だけでなく「どのような力を身に付けるか」という観点も重視しています。また、科目構成や必履修科目も変わります。例えば、地歴では現在の「世界史」必履修を見直し、「歴史総合」「地理総合」が必履修科目として設置されます。数理系科目では、数学と理科の知識や技能を総合的に活用して主体的に探究活動を行う科目「理数探究」が設置されます。

大学教育改革では、アドミッション・ポリシー(入学者受入方針)に加えて、カリキュラム・ポリシー(教育課程編成・実施方針)、ディプロマ・ポリシー(学位授与方針)の3つのポリシーを各大学が一体的に策定、そして公表し、これに基づいて大学教育を行うことを挙げています。

大学入学者選抜改革では、これまで以上に多面的・総合的に能力を評価する入試への転換を掲げています。現在のセンター試験を廃止し、思考力・判断力・表現力を中心に評価する「大学入学共通テスト」を導入します。各大学の個別選抜では、アドミッション・ポリシー(入学者受入方針)を明確化するとともに、より多面的な選抜方法にすることが求められています。また、AO入試や推薦入試では、一部で「学力不問になっている」といった批判があることから、小論文、プレゼンテーションや大学入学共通テストなどを通じて、学力を問う試験を必須化する方針が示されています。

*アクティブ・ラーニング
教員による一方的な講義形式の教育とは異なり、学修者の能動的な学修への参加を取り入れた教授・学習法の総称。学修者が能動的に学修することによって、汎用的能力の育成を図る。発見学習、問題解決学習、体験学習、調査学習、教室内でのグループ・ディスカッション、ディベート、グループ・ワーク等様々な手法がある。

なぜ改革を行うのか?

なぜ、こうした改革が行われるのでしょうか。それは、国の将来に対する強い危機感があるからです。現代社会は先を見通すことが難しく、今の小学生や中学生が大人になる頃は、現在とは社会や職業が大きく変わっている可能性があるといわれています。中教審の答申でも、アメリカの大学教授の「2011年にアメリカの小学校に入学した子供たちの65%は、大学卒業後、今は存在していない職業に就く」という予測が紹介されています。たしかに、今では当たり前のように使われているインターネットや携帯電話が、急速に普及してきたのはここ20年ほどの出来事です。それ以前に今の世の中を想像することが出来た人は少なかったでしょう。ITの発達に伴って、社会や仕事の在り方は変わり、かつては存在していなかった職業も多く登場しています。

日本は、今後急速に少子高齢社会を迎えます。それに伴い、生産年齢人口の急減、労働生産性の低迷、産業構造や就業構造の転換、地方創生等への早急な対応が求められます。国際的にはグローバル化・多極化の進展、新興国・地域の勃興といった変動が起こっています。このような先の見えない状況のなかで、自ら問題を発見し、他者と協力して解決していくための資質や能力を育む教育が必要であるという考えがベースとなっています。


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